次世代シーケンサーAVITIの化学反応について

次世代シーケンサーAVITIはなぜ精度が高いのか

DNAの配列を解読する次世代シーケンサー。では、どのような方法でDNAの配列を解読しているのでしょうか?次世代シーケンサーAVITIでは、従来の方法と全く異なる新しい化学反応によって、DNAの配列を解読しています。

ここでは、その化学反応である「Avidite base chemistry (ABC)/ Aviditeベースケミストリー(ABC)」についてご紹介します。ABCは、従来のDNAの読み取り方とは全く違う新しい方法で、DNAの情報をより正確かつ迅速に読み取ることができます。

例えば、10人で伝言ゲームをした際、「ガラスのグラスでカラスが水を飲む」という言葉が、3人目では、「烏のグラスでカラスが水を飲む」、10人目では、「烏の蔵で彼が水を飲む」と変わってしまうことがあると思います。これは、元となる言葉と次に伝える言葉が少しずつ変化するからです。これは、DNAのシーケンスでエラーが起こることに似ています。

しかし、正確に次の人に伝えようと、元の言葉をカードに印刷して、次の人へと渡せば、最後の人へ元の言葉が間違いなく伝わります。ABCは、元のDNAの情報をコピーしたものをコピーし続けるようなことはせず、元のDNAの情報だけをコピーするので、従来の方法に比べて大幅にエラーを減らすことができます。このように、ABCでは、DNAの情報を正確にコピーし、エラーを減らすことで、より信頼性の高いデータを得ることができるようになりました。

ここでは、詳しくABCについて学んでいきましょう。

Aviditeベースケミストリー(ABC)とは?

Avidite base chemistryを日本語に翻訳すると、「Avidite基礎化学」という意味になります。このAviditeという単語は、「アビディティ(avidity)」の語尾を変換したものになるのですが、生体分子が複数の結合部位でターゲットに同時に結合することで結合の強さが増強される「アビディティ効果」に由来しています。つまり、遺伝子がどのように解読されるかの化学反応をAviditeベースケミストリー(ABC)と呼んでいます。では、シーケンシングの各過程はどの様に行われているのでしょうか?

低結合表面化学による画像の鮮明化

ABCでは、フローセルと呼ばれるシーケンシングのための特殊なプレートにDNAをしっかりと固定します(下記、図aの一番左の図)。DNAの固定がしっかりしていることで、フローセル上のDNAを撮影する際に、明るくコントラストがはっきりとした画像が得られます(下記図aの左から3番目の図)。これにより、DNAを読み取る際の精度が大幅に上がります。さらに、ABCのフローセル用光学システムは、通常より広範囲にわたって撮影できるため、プレートの隅々まで鮮明な画像が得られ、DNAの構造をより確実に解析できます。

PCRフリー増幅によるエラーの抑制

多くの従来のシーケンシング方法では、「PCR」という方法を使ってDNAのコピーを大量に作成するのですが、コピーを増やす過程でエラーが入ることがあります。ABCでは、「ローリングサークル増幅(RCA)」と呼ばれる別の方法を用いており(下記図のCircularizeを参照)、PCRを使わないことで、元のDNAの情報を正確にコピーできます。エラーが少なく、DNAの構造を正確に反映した解析が可能になるため、結果に対する信頼性も上がります。また、RCAは光学的な重複や増幅によるデータの歪みも少ないため、より正確な結果が得られます。

新しいシーケンシングステップの構築

シーケンシングの過程で、通常は塩基の検出と鎖の伸長(DNAの構造の延長)が同時に行われますが、ABCではこれを分けて処理しています(上図を参照)。これにより、各工程に最適な条件を設定できるため、非常に高精度なデータが得られるようになっています。さらに、通常のシーケンシングでは蛍光を利用して塩基を検出するために化学修飾を行いますが、ABCではそれを必要とせず、傷のない天然のDNAがそのまま得られます。この方式により、シーケンシングを繰り返しても性能が落ちにくいという利点があります。

下記は、イルミナ社のNovaseq6000とNextSeq2000との精度の比較になりますが、Element Biosciences社のAVITIがいかに高い精度を保っているかを証明しています。

私たちが実際に再現したデータ

これはPhiX(標準となるコントロールの様なもの)を使って、実際に私たちがAVITIを使って解読した時の結果です。キットは2×150 Cloudbreak Highを使用しました。40を超える非常に高いQ scoreが保たれており、AVITIの精度の高さを確認することができました。

また、私たちが研究で使用したサンプルを解読した際の結果ですが、実際に使用した際も高いQ scoreを維持しており、AVITIの精度の高さを確認することができます。

まとめ

このように、Element BiosciencesのABC技術は、シーケンシングの精度を保ちながらもコストを下げ、効率的にDNAの構造を解析することを可能にしています。ここでは簡単に説明をいたしましたが、次回は、少し難易度を上げて、論文をもとにさらに詳しくご紹介いたします。

AVITIの解析を試してみよう!

MEDBANKでは、次世代シーケンサーAVITIでの解析を受託しております。上記で精度が高いことを占めましたが、従来のイルミナ社のシーケンスと比較して、非常に短い納期かつ低コストでも解析が可能です。初めての方や、遺伝子解析を行ったことがない臨床医の先生でもサポートいたしますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

※図や文献は、Element Biosciencesのアメリカ本社の許可を得て、Element Biosciencesが提供する資料等をもとに掲載しております。

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新型次世代シーケンサーAVITIは、革新的な化学反応技術を採用した最新の次世代シーケンサーです。従来のシーケンサーと比較して、高精度な解析を維持しながら、コストは半分、処理時間も半分でシーケンスサービスを提供します。

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