この記事は、下記の記事のおまけとして、AVITIとイルミナ社のNextSeq 2000、NovaSeq 6000の比較データについて紹介しております。
アビディティシーケンシングは、DNA合成の進行と塩基識別のプロセスを分離し、特別な多価分子「Avidite」により、低試薬量でも高精度のDNAシーケンシングを実現することは、前回の記事でお伝えした通りです。ここでは、「Sequencing by avidity enables high accuracy with low reagent consumption」の論文で紹介されているAVITIとイルミナ社のNextSeq 2000、NovaSeq 6000の比較データをご紹介し、AVITIのシーケンス精度の高さについて確認をしていきます。
k-merごとのエラー率の比較
「k-mer」は連続する複数の塩基のセットを指し、この図は1塩基、2塩基、3塩基ごとにエラー率を比較しています。AVITI(アビディティシーケンシング)は、比較対象となるイルミナ社のNextSeq 2000、NovaSeq 6000よりも全体的にエラー率が低く、特に長いk-merでも精度が高いことが示されています。
![](https://aviti.jp/wp-content/uploads/2024/11/Screenshot-2024-11-08-at-17.24.33.png)
この結果は、アビディティシーケンシングが短い配列だけでなく長い配列も正確に読み取れることを示しています。これにより、複雑な変異や遺伝的パターンを検出しやすくなり、遺伝病の診断やリスク解析に適していると考えられます。
エラー率の差の分布
アビディティシーケンシングと従来のイルミナ社のNovaSeq 6000で得られたエラー率の差をヒストグラムで示しています。アビディティシーケンシングは97%以上のケースで従来技術よりもエラー率が低く、特に長いホモポリマー(同じ塩基が連続する配列)で安定した精度を示すことがわかりました。
![](https://aviti.jp/wp-content/uploads/2024/11/Screenshot-2024-11-08-at-17.26.33.png)
このエラー率の低さは、疾患関連のリピート配列やホモポリマーが多い遺伝子領域で正確に診断できることを意味します。例えば、ホモポリマーに関連する疾患の早期発見や追跡に有用だと考えられます。
ホモポリマー領域のエラー率
AVITIと従来のイルミナ社のNovaSeq 6000を比較したホモポリマー領域でのエラー率の違いが表示されています。AVITIの方がほとんどのケースでエラーが少なく、長いホモポリマーの読み取りが非常に安定しています。
![](https://aviti.jp/wp-content/uploads/2024/11/Screenshot-2024-11-08-at-17.31.47.png)
![](https://aviti.jp/wp-content/uploads/2024/11/Screenshot-2024-11-08-at-17.32.26.png)
重複率とゲノムカバレッジの比較
シーケンシングデータの重複率とそれによるカバレッジの変化を示しています。AVITIでは、重複率が非常に低いため、より正確で効率的なゲノムカバレッジが実現できます。「ゲノムカバレッジ」は、シーケンシングでどれだけ全体のDNA配列をカバー(網羅)できたかを示す指標です。カバレッジが高いほど、対象となるDNA配列全体をしっかりと読み取れていることを意味します。つまり、重複が少ないことで、より多くの領域が1回でカバーされるため、全体のゲノムカバレッジも正確になります。シーケンスのカバレッジが高いと、遺伝子変異や疾患関連の領域も見逃しなく解析できるようになります。
「重複率」とは、同じDNA断片が何度もシーケンシングされてしまう割合を示すものです。例えば、ある特定のDNA断片がサンプル内に少ないと、その断片が複数回読まれることがあり、これが「重複」となります。重複が多いと、本当に必要な情報を得るために、無駄に試薬や時間が使われてしまいます。 |
![](https://aviti.jp/wp-content/uploads/2024/11/Screenshot-2024-11-08-at-17.34.45-1024x667.png)
SNPとインデルの検出精度(F1スコア)
ヒトサンプルHG002を用いて、AVITIのSNP(単一塩基多型)とインデル(挿入・欠失変異)の検出精度が、イルミナ社のNextSeq 2000、NovaSeq 6000と比較してどれほど高いかが示されています。AVITIは、すべての検出対象で非常に高いF1スコア(精度)を達成しており、遺伝子変異の検出において信頼性が高いことがわかります。
F1スコアは、主に分類の精度を測るために使われる指標で、「実際に正しいものをどれだけ正しく予測できたか」を示す数値です。 |
![](https://aviti.jp/wp-content/uploads/2024/11/Screenshot-2024-11-08-at-17.37.27.png)
AVITIによる高精度の変異検出は、がんなどの変異解析、遺伝子診断、パーソナライズドメディスン(個別化医療)における各患者の治療法の決定に非常に役立ちます。遺伝的変異の確実な検出が可能であることから、診断の信頼性を高めます。
AVITIの解析を試してみよう!
MEDBANKでは、次世代シーケンサーAVITIでの解析を受託しております。上記で精度が高いことを占めましたが、従来のイルミナ社のシーケンスと比較して、非常に短い納期かつ低コストでも解析が可能です。初めての方や、遺伝子解析を行ったことがない臨床医の先生でもサポートいたしますので、まずはお気軽にお問い合わせください。